せいてぃーずだいありー

ツイートになり損ねたゴミの掃き溜め

スイカバーにスイカの果肉が入らない理由

皆様、ご無沙汰しております。なんか書きたくなったので、久しぶりに更新します。

 

 

 

 

 

 

皆さんはイカバーをご存知でしょうか?

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1986年にロッテアイスより発売されて以来、個人的には「コンビニで見かけるとつい買ってしまう夏の風物詩ランキング」で上位に居座り続けています。

 

 

そんなスイカバーなのですが、実際に買って食べてみると分かるように、イカの果肉が入っていない んです。

 

 

種に似せたチョコチップを入れてまでスイカに似せようと苦心しているのに、どうしてスイカの果肉をそのまま入れないのでしょうか?

 

賞味期限?製造コスト?そもそも果肉入りって美味しいの?など色々な憶測が飛び交っていますが、実は数学的に考えると果肉が入っていないことは非常に重要なのです。

 

 

 

 

  • 「補集合」について

ここで、今回の話を理解する上で極めて重要な考え方について話しておきます。それが「補集合」です。

 

全体の集合をU、その中でもある特定の集合だけをAとした時、UのうちAでない残りの部分をAの上に横棒を引いて「Aバー」と言うことがあります。

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AとAバーに重なっている部分はありませんから、「AかつAバー」を満たす要素は何も無い、ということになります。

 

 

 

 

 

さて、ここで話をスイカバーに戻しましょう。

この「スイカバー」という名前、先程の補集合の話を踏まえて良く見てみると、イカの補集合であることを意味していることがお分かり頂けるでしょうか。

 

それでは、そんなスイカバーにスイカの果肉が入るとどうなるでしょうか?

 

イカバーの中でもスイカの果肉が入っている部分は、イカかつイカバーと言えるはずです。しかし、上で述べた通り「AかつAバー」を満たす要素は存在しません。したがって、その部分は数学的には消えて無くなってしまうことになります。企業の汗と涙の結晶が無に帰してしまうのです。これは困った。

 

これを防ぐために、スイカバーにはスイカの果肉が入れられていなかったのです。スイカに似せることを考えて作られたスイカバーは決してスイカそのものになることは出来ない。数学によって定められた、なんとも悲痛な運命でした。

ティッシュについて

皆さんにとって箱入りのティッシュペーパーは身近な存在でしょうか?私は毎晩お世話になっています。

そんな箱入りティッシュですが、多くの人が「ある事」に気づいていると思います。

 

ティッシュの箱の内側はなんと灰色になっているのです!

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今更当たり前のことを言うなよと思われたかもしれませんが、こういった身近な、それでいて見過ごしやすい謎というものは私達に多くの知る喜びを与えてくれます。今回はこの記事を通して、なぜ箱ティッシュの内側が灰色なのか考えていきましょう。

 

ティッシュの吸水性に注目する

ティッシュが主に使われるのはどういった場面でしょうか?大抵は鼻をかんだり、こぼした液体を拭き取る時に使われるものと思います。ここで挙げた2つの例は、いずれもティッシュの持つ吸水性を利用したものです。ティッシュはアホみたいに水を吸います。ティッシュは乾いている状態よりも水と結合している方が安定である、と言うこともできます。つまり、ティッシュは常に周りから水分を奪おうとしているのです。この性質は、鼻をかみすぎた時に鼻の周りが痛くなる、という現象に現れています。ティッシュの強すぎる吸水性・吸湿性故に、鼻付近の水分が奪われてしまい、そこが荒れてしまうのですね。

さて、ここまでティッシュの吸水性について話を進めてきましたが、化学に造詣の深い方ならここで「ある物質」を思い浮かべていると思います。

そう、濃硫酸です。

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濃硫酸ってなに?という方のために、軽い説明をしておきます。

濃硫酸とはその字の通り「濃」い「硫酸」のことです。硫酸というのは、これもまた字が示すように「石」が「流」れるほどドロドロになる「酸」を表します。ただでさえ石さえ溶かしてしまう硫酸のさらに濃いものなので、濃硫酸はとても強い酸であることが窺えますね。

さて、この濃硫酸ですが、実は先程から何度か言及している吸湿性を持ちます。そしてただ吸水性を持つだけでなく、なんとC(炭素)、H(水素)、O(酸素)から構成される物質からHとOを奪い(水はH2Oと表されるので、HとOを奪うことは水を奪うことと同じです)、Cだけにしてしまうのです。これを脱水作用と言います。

Cのみになったらそれはただの炭素、つまり炭になります。真っ黒です。

(ここの説明については動画を見ていただいた方が分かりやすいです、この動画のようになります https://m.youtube.com/watch?v=aDLIQRWziNQ )

では、ティッシュペーパーも濃硫酸と同じように脱水作用を持つとしたらどうでしょう?ティッシュの箱というのはだいたい紙でできています。紙も基本的にC、H、Oから成るため、ティッシュペーパーに面している箱の内側は脱水作用のせいで黒くなっているはずです。しかしティッシュが奪えるHとOの数は限られていますから、必然的に脱水されていない白い部分は残ることになります。Cだけの黒と紙のままの白が混ざり合うとどうなるでしょう?黒と白が混ざると灰色になるのは絵の具を使ったことがあれば一瞬で理解できると思います。こうして、ティッシュペーパーの脱水作用の不完全さ故に、ティッシュ箱の内側は灰色になっているのです。

 

おわりに

ティッシュ箱の内側のナゾ、理解していただけたでしょうか?様々な知識が繋がってナゾが解ける瞬間というものはとても気持ちの良いものです。この記事を機に、身近な不思議についてもう1度深く考え、自分なりに結論を出してみると人生がより楽しくなると思います。皆さんも知的で楽しい人生、歩んでみませんか?